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ひさしぶりに母親と電話で話そうとおもった。
だけど、工房の電話が繋がらない
料金未納で 毎度 止まるので とりあえず納金した
なのに 通話できない
電話会社の故障担当にケータイから電話したけど 今回の台風の影響で問い合わせが殺到して回線が混んでいて これも繋がらない
工房の電話は 当分不通だな
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ケータイで母親と話した
そうしたら母親のとても仲良しの友だちが他界したはなしだった
たいへんじゃないか
母親とは「白寿と卒寿の仲」だ
白寿というのは「百から一を引くから白」99歳のこと
卒寿は90歳のこと。「卒」という字の略字「卆」が九十と読めることから
ということを ぼくは今年までまったくしらなかったけど、春くらいの帰省で母親から聴いて知った。
近所に住んでるので ぼくも話したり 門柱の電球交換をしたことがある
おかずを創って、よく持ってきてくださった
野菜と豚肉の煮物とか 美味しかった
母親より10歳センパイだが、母親よりずっと元気そうだった。外出もしょっちゅうで あちこち行ってらした。
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今日も母親とケータイで話した
母親の「感じ」を知りたいから
旅立った友だちの話をしてると だんだん思い出して悲しくなって 母親は泣きそうになって「じゃあね」と言う。そりゃそうだな。まぁ、ぼくも「じゃあ」と言って切る。
ぼくも そのうち帰るから いっしょにその人のことを話そう。と言ったら。「もう (あの人のことは)なにも話さなくていい」と言う。「思い出すと 悲しいから」「もう 会えない」。
そうだよなぁ と おもった。
ぼくは ひとの気持ちってのが わからんからな。つい 同情したような気分に成って 言わんでいいことを 言ってしまう。
「感じ」によっては、すぐに帰ろうとおもっていたけど
帰るの やめた
これは 母親自身のことだから
ぼくが 立ちいっちゃ いけないんだ それは 無礼なことなんだ
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母親は 昨日 久しぶりにかかりつけの医者へ出向こうとおもって
玄関でバランスをくずして転けて尻もちついて ステンレスの柱に 頭突きしたらしい
母親は 右手が使えないので 転けても手で支えられない
昨日は しばらく頭が痛かったけど 今日は だいじょうぶなのだそうだ
ずーっと雨で 一ヶ月ほど外出していなかったし 筋力も落ちているのだとおもう
なんだか はらはらする
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お祈りをした
ぼくの工房には 祈るための「死者の壁」というのがある
いつのまにか できてしまった
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