「だれでも知ってる素材 だれでも知ってる道具 だれでも知ってる方法 で」
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だれもが知っている言葉だけで 初めての物語を描けないものだろうか
だれもが聴いたことのある 馴染み深い音だけで 新しい曲を唄うことができないだろうか
だれもが知っている香り だれもが知っている風 だれもが知っている風景を この手で触れないものだろうか
だれもが知っていた新しい物語 だれもが聴いたことのあるような鮮やかな音楽
世界は たしかに こうだった
忘れてはいなかったことに安堵する
やっぱり どうみても ふつう なにがどうということもないあたりまえの
世界は ぜんぶ はじめての 林檎