借景彫刻です。「彼方」というタイトル。1989年の制作です。
背景に森と二つの山があります
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そそり立つモニュメントのようでは無く、低い平たいものをつくりたかった。
作品を観るのではなく、傍らで弁当を広げたくなるような作品。彫刻の上に乗って昼寝をしたり。
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境界領域や辺境について考えていました。国境や狭間などについてを思っていました。国境は線では無くて領域であるということ。国境地帯に住む人たちが居る事。領土問題地域に住む人たちの事。
街ではビルとビルの隙間の空間とか新宿区と豊島区の境界線とかを考えていたころ。
ときの彼方と場の彼方
ジャングルや砂漠や北極や 宇宙や
過去とか未来とかを 想っていました
どんどん イメージは 距離を広げてゆく
「彼方」は、限りなく遠いと おもっていた
制作中のある日
ああ、「こここそが 彼方」。「彼方とは、今のこと 此処のこと」。なのだと思いました
ここも彼方なのだと
気づくまでは「彼方へ」というタイトルを構想していました
やがて、今日 この日 この此処も 遥か彼方になる 点のようになって 見えなくなってしまう
ああ、だけど、想えば みえてくるものがある 此処を想うひとが きっと どこかにいる
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石の舞台です。
鉄材は、橋わたしの道。舞台の花道のような感じ。
たいまつが灯され、祭事が執り行われる。
彫刻は上空から見ると羽ばたき飛んでいる鳥の形に成っています。グーグルアースでなんとなくわかります(笑)。
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遠景の山を思いながら、ゆるやかな斜面に配置しました。
背後の森や山には、古墳群があります。
静かで風景の美しい空間。周囲の草も四季折々変化します。
やがて鉄は朽ちて石の配置だけが残るだろう。ということを考えて作りました。奈良で酒石などをその数年まえに観ていたのでそのようなことをイメージしたのかも知れません。
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兵庫県播磨新宮、「西播磨文化会館」に現存します。
唯一のパブリックコレクションです。
〒679-4311 兵庫県たつの市新宮町宮内458-7 TEL:0791-75-3663
兵庫県へおこしの方は、ぜひ ついでに
(って、ついでに見れるほど 某冒険館とは、近くないです)
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別角度から もう一方の山
東より こちらから朝日
想っていたことは。
ライアル・ワトソン著「未知の贈り物」に登場するティアというひとが踊る舞台。
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山側から見下ろした写真です
鉄板は、真鍮や白金のロウ付けによって絵画しています。
無垢鉄の角柱。
向かって右の花道は、厚みは80ミリ鉄。やがて、この道も朽ちる。
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これは、儀式に使われる 特別な道 舞台と椅子の間に在ります
赤穂産の花崗岩が しかれています
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これも山側からの写真です。
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今回の写真には写っていませんが、舞台裏手(山側)に置いてある石にはアザラシの顔が線彫りしてあります。
その石は、近くを流れる揖保川からの物。石彫シンポジウムの開会式で矢を入れて半分に割った片割れ。
その石のもう片方は、「道標」という別作品にしました。道標には、水を確かめる水槽が付いています。その作品も西播磨文化会館に在ります。今想ったのだけど、ということは、パブリックコレクションは、一点ではなくて二点あるということだなぁ。
作品「道標」の写真を探していたけど、見つかりませんでした。
作品は、すべて赤穂の御影石を使っています。
石切り場に行って、すべての石を選びました。
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